[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
二人のロミオ、とジュリエット13からの続きです。
粗筋→ミランダさんとラビ君が任務で公園にいました。ティキさん+AKUMA登場、戦闘終了後、ミランダさんはティキさんにさらわれてアチコチ連れまわされていました。のを追っかけてたラビ君がようやっと見つけられたようです。(以上)
今回の副題は「Lに関するお題」より。
赤い糸の結び目 4
18xx年。
ミランダはラビの瞳がことのほかお気に入りのようだ。
こうして向き合っている時はいつも、ラビの緑の片目にうっとりと見入っている。
悪戯心を刺激されたラビは、できるだけ意地悪く見えるように目を細めて尋ねた。
「ミランダ、オレの目、好き?」
見る見るうちに白い頬が染まる。俯いて頷く。
それから小さい顔と細い腕が持ち上がる。ちょっと握っただけでポキリと折れそうな指で恐る恐るラビの頬を包み込む。
「ラビ君の目、とてもきれい」
言葉と一緒に、すりと頬を寄せる。なめらかな肌を頬に感じながら、ラビは華奢な指に自分の筋張った指を重ねる。薄い手を口元に引き寄せる。
「自分の目は自分で見えないかんなぁ」
「もったいない、こんなにキレイなのに」
ミランダが心底残念そうに、気の毒そうにラビを見る。それはミランダだって同じことだ。
ラビは真顔になって、彼女の目に口づけた。ビックリしたミランダは目をつぶってしまう。
「ミランダも気の毒にな。こんなにキレイな目、自分で見れないなんて」
耳元で囁く。
ピクリと薄い肩が震える。フルフルと白いリボンで髪を一つに括った頭を振った。
「綺麗なんかじゃ...」
「綺麗だって。知ってる? ミランダの瞳、暗いトコだと黒く見えるけど、明るいトコだとダークブラウン、でもって、よくよく見ると、緑が混じってるんさ」
「ラビ君、最後のそれは、多分、ラビ君の瞳が映ってるからだと思うんだけど」
「オレの言うこと、信じられない?」
心外だと言わんばかりに、顔を離して眉を上げる。ミランダは、心持ち潤んだ目でラビを見上げてくる。
「信じてるけど、ラビ君は優しいから褒め言葉はあんまり信じられない」
「それじゃ、優しくなければ信じてもらえるんさ?」
「意地悪な人の言葉は、もっと信じられません」
「ミランダ、ズルはなしさ。どうしたらオレの言うこと、信じてくれんの? オレは次期ブックマンだから、何でも正確にこの目に映して記録して伝えるよ。それがミランダでも、他の誰かでも」
ブックマン、という言葉にミランダの瞳が揺れる。彼女の心が手に取るように分かって、ラビは酷く切ない。いつだって、彼女には憂いなく笑っていてほしいのに。眉を寄せてミランダを抱きしめる腕の力を強めた。
すると、苦しいわラビ君と、彼女は笑う。さっき瞳を揺らしたことなどおくびにも出さず。
ミランダにこんな風に触れる男は、ラビが最初で最後だ。
ラビは確信する。
こんなに優しくて温かくて気持ちのよい存在を一度手に入れて、手放せる奴などいない。
けれど、万が一。
百万に一つの可能性で、彼女に触れた男が過去にいたとして。
ラビがミランダに会ったとき、彼女は独りだった。その男はミランダを手放したのだ。
だったら、その理由が死別だろうと、止むに止まれぬ家の事情だろうと、生きて再び彼女に触れる資格をその男はもたない。
思って、隻眼の青年は安堵の息を吐く。
***
「って、てめぇ! ノアのくせに、何ミランダに膝枕してもらってるさ! オレだって、オレだってまだしてもらったことないってのに!」
「へぇ、そ~なんだ。でもなぁ、今更だよな、ミランダ? 膝枕くらい」
挑発するような言葉を吐いて、ノアの天パ(ユウ命名)はミランダに流し目をくれた。
ラビは眉根を寄せて自分に言いきかせる。
わざとだ。言葉など、気にならない。気にしない。この男の言葉に、真実など欠片もない。
そんなことより、気に食わないのはその体勢。
ミランダの腹に鼻をつけ、腕を細いウェストにグルリと巻きつけている。ミランダもミランダだ。せっかくラビが万難排してここまで助けに来たというのに、涙ぐんで見つめてくるばかりでちっとも男から逃げ出そうとしない。
ムカムカしながらも、ラビは唇の端を持ち上げた。バンダナをしてきてよかった。こめかみが引きつっているのが、彼女からは見えない筈。彼女が好きだと言ってくれた目は元々垂れてて愛嬌があるから、細めさえすれば笑っているように見えるだろう。
優しい声で呼びかける。
「ミランダ?」
「ひいっ」
なのに、ミランダは悲鳴を上げた。
彼女は恐がりだ。クモ、ネズミ、トカゲ、オバケ。恐いものが沢山ある。
今の彼女の声は、それらを見つけた時のものに似ていた。どういうことだろう。一ヶ月ぶりに聞く恋人の第一声が悲鳴だなんて、あんまりだ。
何をそんなに恐がっているのか。このビン底メガネにそれほど酷く脅かされているのか。
だったら、安心してほしい。すぐに助けてやるから。
ただ、手をちょっとだけでもラビに差し出してくれないだろうか。そんなことしなくたってすぐにこの油断しきったマヌケなノアを叩き潰すつもりだが、やはりこういう場面では相応しい対応というものがあるだろう。
突きつけたイノセンスを握りなおす。ゆっくりと囁く。迂闊な彼女が聞き間違えないように。
「ミランダ、さっさとそのメガネから離れるさ」
「あ、あぁの、ラビ君、ご」
「謝るなさ、ミランダ。それとも、謝るようなことがあったんか?」
「! ら、らび君、違うの、私は、あの」
後ろ手にジリジリとミランダが後ずさろうとする。腰にティキを貼り付けたまま。
プツリ。
血管の切れる音がした。ギリリと直接脳に響くのは、奥歯を噛みしめる音だろう。
他人事に自分を観察する。ラビの癖だ。頭に血が昇って暴れる感情を制御できそうになくなった時の。
「ミランダ! とっとと、ティキ=ミックから離れろ!!」
「ひぃい~! ごめんなさいごめんなさい、今すぐにー!」
「おいおい、眼帯くん。久しぶりに会った仲間にそりゃないんでない?」
声が重なった。動きは三者三様だった。
まず、ティキが傍らに置いてあった杖を掴んだ。踏み込んだラビの足に、横に薙いだ杖がぶつかる直前、ミランダが足を跳ね上げた。杖の軌道がそれ、ラビのイノセンスに跳ね返される。
そのまま、まっすぐ振り下ろした槌がティキの頭に吸い込まれるはずが、足の痺れに派手に転んだミランダにつられてティキがのけぞったため、男の五センチ手前の敷布に穴が開くだけで終わる。
期せず重なる二つの舌打ち。
素早く地面に深くめり込んだ槌を引き上げたラビは、探し人二人の姿が消えていることに気づいた。
隻眼を泳がせ、気配を探るが、動くものは何もない。
気持ちを落ち着かせるため、ラビは一度、大きく息を吐いた。
ここを突き止めるにあたって、ラビはこの辺り一帯をくまなく調べた。地理はもちろん、歴史、経済、人口、その他。
だから彼は知っている。
彼の足元には、自然の洞窟が縦横無尽に走っている。
今回、あの夢のノアを持つ少女は関係していないようだ。これまで尽く常識的な移動手段を使っている。
さっきは、あの忌々しいノアの力で地面に潜ったのだろうが、ノアの男はともかくミランダは息が続かない。彼女は普通の人間だ。人の範疇をはるかに超えたノアであっても、常人を連れて動こうとするなら制約は多い。
彼女を殺すつもりなら、とっくにしてる。しない理由については、今は考えない。
ならば、あのノアの男は必ず洞窟を使って移動する。
ラビの目をくらますつもりなら、現在地からできるだけ遠く離れた地点で地上に出ようとするだろう。
一瞬で脳裏に描き出される、地下深くの複雑怪奇に入り組んだ洞窟の地形。
地上に出られる箇所は五つ。その中で、ここから最も遠く離れた場所は。
「伸」
槌を地面に突き刺し柄の端を握りこんで、ラビは一言呟いた。
戦闘シーンはさぁ、書けないんだからどうにか誤魔化す方法、考えようよ、私。
無駄に長くなっちゃうしさぁ(泣)
続きはこちら。
| ≪ 二人のロミオ、とジュリエット 15 | | HOME | | 二人のロミオ、とジュリエット 13 ≫ |