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二人のロミオ、とジュリエット7からの続きです。
粗筋→ミランダさんとラビ君が任務で公園にいます。ティキさん+AKUMA登場、戦闘終了後、ミランダさんはティキさんの屋敷に囚われの身となってます。(以上)
今回の副題は「Tに関するお題」より。
快楽主義者の落し穴 4
足を挫いて歩けないミランダを抱きかかえて屋敷へ戻ったティキは、そのまま彼女の部屋へと向かい、軽い体を大きなベッドに静かに下ろしてくれた。
礼を言おうとして、ミランダはベッドと男の顔の間で視線を何度か往復させた。
手袋、燕尾服、カフスボタン。
彼は身に着けていたものを、彼女のそばへとポイポイ放り投げる。乱暴にほどかれた白タイがハラリと床に落ちるに及んで、ようやっとミランダは傍らの男に問いかけた。
「ぁあの、ティキさん? ここは私の部屋なんじゃ」
着替えるならご自分の部屋で。
綺麗に撫でつけられた髪をグシャグシャと両手でかき回しながら、何をいっているのだといいたげな目で見下ろされた。
「ここ、オレの屋敷だけど?」
ミランダの顔が赤くなった。居たたまれないとはこのことだ。
「す、すみません、私ったら! すぐに出て行きます!」
「違うな、千年公の、か」
ベッドから飛び上がった拍子に、挫いた足を力いっぱい床についてしまう。痛みに顔を歪めつつ、しゃがみ込むのも呻き声を上げるのもどうにかこらえた彼女を、ティキは後ろから抱きよせた。熱い額が肩に押し付けられる。自分に言い聞かせているような呟きが、むき出しの肌に直接響く。
「まあ、千年公からの『お仕事』の報酬だから、オレのってことになるのか?」
『お仕事』。千年伯爵の敵の暗殺。ミランダの仲間を殺すこと。
告げられた事実に凍りつく。
「で? ミランダはオレのやった服や食事の報酬に何をしてくれるんだ?」
途端、今までの全てのいきさつも自分の立場も相手が誰なのかも、ミランダの頭から消えうせた。悲鳴に似た叫び声が上がる。
「ごめんなさい、ごめんさない、ごめんなさい! 弁償します、キチンと働きます! だから、解雇(クビ)にだけは…?」
キリのないミランダの懇願は強制終了させられた。首を思いっきり横へと捻じ曲げられたからだ。
息が苦しいと開いた唇はすぐにふさがれた。生温かい自分のものでない舌が歯の裏に当たる。思考が凍りつく。
が、大きな手の平がミランダの体の線をなぞり始めるや、凄まじい勢いで働きを再開した。
体を捩る。回された腕に爪を立てる。男の足を力いっぱい踏みつける。拘束が緩み、夢中で目の前の顔を押し退けた。根が生えたような足を必死で持ち上げる。
一歩も踏み出さぬうちに肘を捉まれた。ベッドに引き倒され尻餅をつく。受身もろくに取れない。顔を上げれば目と鼻の先に恐ろしいほど整った表情のない顔。体の横についた手に手が重ねられる。のしかかる体。
「お伽噺みたいだったろ?」
「ティキさん! なに、や!」
背けた顔に吐息がかかる。ゾワリと鳥肌がたった。
「キレーな服着て、美味いもん食って、エライ連中と気取った話して」
毒を耳に直接流し込まれている気がした。声が届いた場所から、ブスブスと黒い煙をあげて腐り落ちるのではないかと。
頭を振る。首に鋭い痛みが走った。自分の体なのに、何をされているのか分からない。
「一度も二度も…いや」
言いかけて、ティキは動きを止めた。金の瞳がすっと細まる。
「五度も六度も変わらねぇだろ?」
言われた内容を理解した瞬間、顔が熱くなり、全身が冷たくなった。震えが止まらない。
左右の頬を耳ごと両手で包みこまれた。
「別にいーだろ、減るもんでもねぇし」
真上から冷たく見下ろされる。ミランダは、零れ落ちそうなほど大きく目を見開いた。
ティキさん、ティキさん、レッドカード! このお話は全年齢対象の心持ちなんだ、頼むよ(今更)。
続きはこちら、ようやっとラビ君パート。
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