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本誌について一言だけ。
ミランダさん、好き。大好き。ホント好き。目の下にクマ仲間でリバミラが落ち着くかもしれない。(サラッと何か言った)
二人のロミオ、とジュリエット2からの続きです。
粗筋→ミランダさんとラビ君が任務で公園にいます。(以上)
今回の副題は「Lに関するお題」より。
夕闇は消えた
18xx-4年。
ティキは親の顔を知らない。生まれた場所も知らない。
親もなければ学もない子供が22年間どうやって生きてきたかなど、詳しく語るまでもない。
それでも彼なりの美学というかポリシーというか、これだけはという線は確かにあって、そのうちの一つに女は犯さない、というのがある。
彼はよく聞かされた。
女というのはバカなものだ、弱くて男がいなければ何もできないものだと。何をされても泣くことしかできないから、手に入れることなど簡単だ、と。
しかし、ティキが見てきた女性はなかなか賢くて、定職を持たず彼女たちに何かを与えることなど考えたことさえない彼を遠巻きに眺めることはあっても近づくことはなかった。
また、ティキの知ってる女というのはとても逞しい。
その場限りの仕事仲間に連れて行かれた娼館で、初めて知った女の体の柔らかさと温かさと気持ちよさ。夢中になって通いつめ、金の切れ目が縁の切れ目、あっという間に放っぽり出された。
「お金ができたらまたおいで、ハンサムボーイ」なじみのオマケと熱いキスを最後にくれて。
恨みはない。涙もない。あまりに楽しくて一日笑い転げた。カネなど稼げば手に入る。そんなモノであの天国が手に入るのならいくらでも。
力づくで女の体をどうこうしようという男は、彼から見ればバカ以外の何者でもない。一方通行で満足できるなら、自慰と同じ。合意のもと、互いに楽しんでこその快楽。
だから初夏の夜、ドイツの小さな街の公園で、彼が向かう先から絹を裂くような女の悲鳴が耳に飛び込んできたときも、急ごうとも引き返そうとも思わなかった。
コトが終わっていたなら慰めてやらなくもないし、間に合ったなら助けてやればいい。腕っ節には自信がある。
こんな時間に外を出歩くのは、街娼あたりか。だったら、遊びたいと誘えば安くしてくれるかもしれない。
都合のよい考えに、ティキの顔がヘラリと緩む。足を進める視線の先、暗闇の中に丸く浮かび上がる黄色い灯り。
ボンヤリと光を落とすガス灯の下、女がこちらに背をむけ座り込んでいた。周囲に人影は見当たらない。逃げる足音も聞こえない。
歩く速度を緩めないティキの耳に届いたのは悲鳴の原因。
ク~ン?
問いかけるような犬の鳴き声。
「脅かさないでちょうだい」
まったくもう。
文句を言う女の声はどこか甘い。弱々しい光の中、華奢な手首が白く浮かび上がり、覗き込んでくる大型犬の頭をおっかなびっくりなでている。その手つきは優しい。
なぜかティキの足が止まる。ガス灯の光の中にへたりこんでいる女をしげしげと眺める。
首から足首まで隙なく覆うロングドレスは随分と地味だ。長い髪は結い上げて頭の後ろで団子にしている。春を売る女には見えないが、お固いドイツ女は娼婦でさえこんな格好をしてるのだろうか。
首を捻りつつ、女に声をかけた。よく考えれば、声をかける理由などなかったのだけれど。
「お嬢さん?」
「きゃあぁあぁあ!」
「うぉ?」
あまりの驚きように、ティキもまた驚きの声を上げた。見上げてくる大きな瞳に浮かぶのは、これ以上ないくらいの脅え。手をつき後ずさる細い肢体は、手をのばして引きずり寄せたくなるような。
通った鼻筋、白い肌。薄い唇は紅い。とりあえず、『お嬢さん』で合ってたようだ。多分ティキより一、二歳は若い。
ぶしつけなティキの視線を真正面から受け止めた女は、見下ろす男が何もしてこないのを見てとると、途端に謝り始めた。
「すみませんすみません、暗くてよく見えなくて、あの、怒ってます?」
卑屈にも聞こえる問いかけに、ティキの顔に笑みが浮かぶ。
「いやまぁ何つーか、こんな暗くちゃ危ないだろ。よかったら家まで送ってく?」
そうしてティキはミランダに出会った。
***
シルクハットにフロックコート、覗くベストと白いシャツ、立ち襟(スタンドカラー)にはアスコットタイ。ミランダの手を掴んでいない方の手には磨きこまれたステッキ。どの仕立ても上等。文句のつけようのない完璧な紳士。むしろ、貴族。
「あの、どちら様でしょうか?」
親しげに自分の名前を呼ばれて戸惑い首を傾げる。ミランダに貴族の知り合いはいない。
彼女の戸惑いをよそに、男はミランダの髪をなでまわし頬へと長い指を伸ばした。
「髪が短いから分かんなかった。あと少し痩せたか? おまけにこのクマ! 不眠症にも程があるだろ」
ガス灯を背に帽子のツバが影を落としてなお、男の整った容貌が見てとれる。
が。
知らない。ミランダはこんな人知らない。
軽くパニックをおこしているミランダとは対照的に、ラビは到って冷静に事態を受け止めていた。
この声、この口調、この立ち姿。間違えようがない、目の前にいるのは、黒の教団の天敵、方舟で死闘を繰り広げたノアの男だ。加えて、先程からの男の言動に不吉な予感がひしひしと。
まさか、あまりにタイミングが良すぎる、ありえない。
心の中に渦まく疑念をのみこみ、ラビは男の背中へと武器の尖端を突きつけた。
「ティキ=ミック!」
ノアならノアらしく、臨戦態勢のエクソシストに背ェむけてないでとっととミランダ離しやがれ。
相変わらず過去話が長い。書いてて楽しくて筆(キーボード?)が止まらないんだ(笑)
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