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オレンジ兎とワルツ7

7/22,18,15,5の拍手ありがとうございます! 2連続っぽい拍手もありがとうございます! 嬉しいです。

さて、今回はラビミラのアイデアノートもしくはシチュエーションメモです。書きやすいように書くので精一杯。
タイトルは群青三メートル手前さんの沁々三十題より。

よろしければ続きからどうぞ。


立てられた爪さえいとしい


ミランダが特定の場面において決まって見せる反応に気づいたのは、ラビがブックマンだからというより単に一緒に居る時間が長いからだろう。
資料を届けに来た司書を書庫の入り口まで見送りに行ったミランダが自分の向かいの席に腰を下ろしすと同時に尋ねていた。

「ミランダは誰かから背中を向けられるの、苦手だったりするん?」

聞いた直後にラビは後悔した。
ミランダが泣きそうな顔をしたからだ。
少し考えれば分かることだ。この女性はこれまでの人生で、他人からダメ出しばかりされていたのだ。その時、背中を向けられることも多かっただろう。
そんな過去と同じ仕草を相手から向けられて辛い記憶を思い出す。ありそうなことだ。
その様子を無遠慮に指摘されれば、恥ずかしかったり居たたまれなくもなるだろう。

こんな時、これまでのブックマンジュニアだったら上手くフォローをしていたと思う。
適当に誤魔化してみたり、肌触りのいい言葉で慰めてみたり、さりげなく話題を変えてみたりとその場その場で適切な対処をして。
だが、今はそういったことを思いつけない。どうすればいいか焦るばかり。

そんなラビの様子にミランダも気づき、こちらもまた自分が相手の質問に気まずい思いをしたことを相手が気づきその理由まで把握されていると理解してしまう。
まるで合わせ鏡のよう。相手の行動に影響される自分の心の動きをまた相手が見て取り、自分の中に映った相手の姿を互いに無限に映し合う。
こんな時どうすればいいか、ミランダは今までも分からなかったし、今もまた焦るばかりで言葉が出てこない。

暫くそうして二人は向かい合って押し黙っていた。
が、砂時計が落ち切る音を聞いてミランダが手元のティーポットから二人分のカップへ紅茶を注ぐ。

「ラビくん、あの、紅茶が冷めちゃうから、あの……」
「うん! あんがと!」

ラビはこれ幸いと受け皿ごとティーカップを受け取る。

「……気づいてる、わよね……ラビくんのことだから」
「あー、うん。大変だったんさね、ミランダも」
「…………こんなんじゃダメだと分かってるの……。戦闘中はそれどころじゃないから大丈夫だと思うんだけど……もし何かあったら取り返しがつかないし……そうじゃなくても、ラビくんみたいに鋭い人が気づいたら心配かけてしまうし……」

ポツリポツリと懺悔が埃の積もる書庫室の床へ静かに降り注ぐ。
紅茶で唇を湿しながら、ラビはようやっと言葉を取り戻した。

「別にいいと思うさ」
「でも」
「ほら、オレもさ、腹に撃たれた痕が残ってるじゃん?」
「え……あ……」
「だからさ、少~しビクつくんだよね、銃の音とか銃口とか向けられると。もう今じゃ避ける方法だって身に着けたってのに」
「……私は別に死にかけたわけじゃないのに?」
「うん。そういうのって人それぞれだからさ。でもオレ、何となく大丈夫になった気もするんさ。この前ミランダが傷跡にキスしてくれ……」

*****

本来、静かである筈の図書室とその隣に位置する書庫からガチャンと大きな音がした。
先ほど、その書庫へと三十冊以上の本を届けた司書のブラウン氏は首を傾げる。
教団施設である図書室に収められた十万冊以上の本を把握し預かる彼は、しかしめっぽう教団内のうわさや人間関係に疎かった。
最近、よく書庫で一緒に見かける二人についても、エクソシスト同士だから任務に使う資料も似るのだろうという程度の認識だ。
そんな彼だったので、大きな音の原因を確かめようと書庫へ足を運び、扉を開けて目に飛び込んできた光景に肝をつぶした。
ミランダがラビを押し倒している、ように見える。
上になったミランダは真っ赤になってラビの口を手で押えたまま、ブラウン氏を振り向き固まった。下になっているラビはやけに嬉しそう。
なので、うわさは耳に入らないが空気を読むことのできる図書室司書は無言でクルリと踵をかえし、二人に背を向け扉を閉めた。
しとやかで穏やかそうなミス・ミランダのことをちょっとだけいいなあと思っていた彼は、今年で三十五歳(独身)になる。



こういう風にうっかりミランダさんの弱点(?)を口にしちゃうのはラビくんだけだと思うんだ。
ティキさんなら気づいても黙ってて、何かってーと背中向けてミランダさんを落ち込ませてちょっと喜んだりしつつ、「きっと嫌われたんだ!」と早合点したミランダさんを前にオロオロしちゃいそう。うん、おバカで可愛い(笑)

リーバーさんは気づいても黙ってそう。トラウマの一つや二つ、人間なら持ってるだろ、て感じ。自分の傷を他人にどうこうしてもらう気はないから、他人の傷も自分が癒してやれるとは考えなさそう。でもたくさんハグしてくれそうな気もする。過去を癒すためじゃなくて、今の気持ちを伝えるため。
マリさんは、目が見えないのもあるけど気づかないんじゃないかな。気づくようなシチュエーションにならないというか。ネガティブなミランダさんをして「嫌われるかも」という不安を与えない包容力。

などと、あるのかないのか分からない(多分ない)ミランダさんのトラウマへの各人の対処方法を考えてみたり。

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