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名も無い慾

5/21,5/18,5/1,4/28,4/21の拍手ありがとうございます! 2連続、4連続拍手もありがとうございます! 嬉しいです。
あと、3月のリバミラ会話メモを一応、SSの形に仕上げて倉庫に保存しました。ト書き加えた程度ですが、よろしければご覧ください~。

さて、今回はティキミラです。
ネットでヴァ/ルシェさん(?)の「dou/bt」という素敵曲を聞いて一気に出来上がった……アイデアノートと申しますか、シチュエーションメモと申しますか。
この曲は単体も格好いいんですが、曲に合わせたヘタリアのMMDが色っぽくて! Dグレでもティキさんが踊ってるんですが、これまた艶があって素敵。

今回のタイトルは群青三メートル手前さんの「湶々三十題」より。
よろしければ続きからどうぞ。


名も無い慾


ミランダほどエスコートし甲斐のある女もいないだろう。
ティキは右腕への軽い衝撃に苦笑した。これで本日顔を合わせてから三度目だ。
立ち止まってゆっくりと顔を女へ向ける。何につまづいたかティキに支えられたミランダは、体勢を立て直してからティキを恐る恐る見上げてくる。

「大丈夫かな?」

女へ尋ねるティキの声は艶のにじむやわらかで優しい声だ。表情も蜜が滴りそうなほど甘くなっているだろう。
それでも彼が腕を貸す女性は泣きそうな顔をする。

「すみません。またご迷惑を……」
「いけませんね。こういう時は私のエスコートが至らないと怒ってくださらないと。そうでないなら、礼の一つも頂ければ私の面目もたちます」

幾分たしなめる口調に、なぜか女は体の強張りをゆるめて小さくうなずいた。

「はい、ありがとうございます。ミック卿」
「よくできました。おや、これは失礼だったかな」
「いいえ。何分、私はものを知らないので。ありがとうございます」
「そう繰り返してはありがたみがなくなりますよ」
「それでも言わせてください。お芝居に誘って頂いた上に、こんな風に色々と教えて頂いて」

歩き出したティキに腕を取られて歩く女の足取りは危なっかしい。こんなんでAKUMAとよく戦えるもんだと、胸の中で白いティキが口をゆがめる。

「礼を言うのは私の方でしょう。貴女に偶然お会いできなければ、十日も前からの約束をすっぽかされた私は連れもなく一人で芝居を見ることになっていました」
「……相手の方は今頃きっと、お詫びのお手紙を必死に書いてらっしゃいますよ」
「おや、かわいらしいことを。約束相手は腐れ縁の大学時代の旧友です。貴女が心配するような相手ではありません」
「わ、私はそんな」

女の曇っていた顔が一転、赤く染まってまたもや足をもつれさせる。ティキは声を出さずに笑って女の細い腰に手を回し、今度は真正面から相手の顔を覗き込んだ。

「心配ではなかったと?」

手袋をはめた指の背で束の間、女の頬に触れた。
魅入られたように見つめ合う二人を追い立てるように開演を予告するベルが鳴る。ミランダはビクリと肩を揺らし、ティキはため息を吐いた。
気を取り直すかのようにティキは頭を小さく振って、近くに控えていた劇場の案内係へ目を向ける。音もなく近寄って来たお仕着せの青年へチケットを見せると、彼は静かに頷いて先に立って歩き出した。

「舞台に近いだけが取り柄のボックス席です。貴女のお気に召すといいのですがね」

無駄なやり取りにうんざりする。今から向かう席はキャメロットの名で一年中押さえられているものなので、案内係を頼むまでもない。案内係の青年もキャメロット一家を知っているし、ティキが席を覚えていることも案内が必要ないことも知っている。
それでも、彼の隣を歩く女の存在が彼の心を騒がせる。

「本当にご一緒してよろしかったのですか? 私は偶然、ミック卿にお会いしただけですのに」
「ええ。偶然、三度も同じホテルのロビーで。あちらのホテルでお暮らしですか?」

そんな訳がないことを知りながら、ティキは涼しい顔をして隣を歩く女性へ尋ねる。返ってくる予想通りの答えは、しかし彼を楽しませる。

「いいえ、仕事の関係で。ミック卿こそどうしてあちらに? 以前、メイフェアにお兄様のお屋敷がおありだと伺いましたけれど」
「件の悪友との待ち合わせに、あのホテルのラウンジを良く使うんですよ」

ティキとミランダが三度顔を合わせたホテルは格こそ高いものの値段はそこそこの、つまりは時流に乗り遅れて没落しかかってる貴族のようなホテルだ。黒いティキが口にしない事実に、白いティキは手を叩く。ご立派なエクソシスト様たちにはお似合いの場所だと。

ティキの答に、ミランダが小さな安堵の息を吐く。ティキの口に微かな笑みが浮かぶ。
彼女の能力を考えると、市街地の任務に駆り出される機会は多い。となれば、二人が出会ったホテルに泊まるチャンスも多いだろう。

では、もしかしたら。
また会えるかもしれない。

ミランダが口にしないささやかな期待を手に取るように見て取って、ティキの心に抑えきれない衝動が湧く。

ああ、この場で彼女の胸に手でふれられたなら。
アレンにしたように、ミランダの心臓をこの手で直接つかみ、その早まる鼓動を感じられたら。
いつでもその心臓を握りつぶせる状態で、ただ優しく彼女を自分の腕の中に閉じ込める。

優しげな笑みと眼差しをミランダに向けて、穏やかな声と丁寧な物言いを身にまとい、誰にも聞かせない恐ろしい願いを心の中に秘める。

こんな欲の名前を、白いティキは知らないままでいい。



あれ、ティキミラというよりジョイドさんとミランダさん?
お話しの中の上品そうな会話やらは記憶も定かでない大昔の少女漫画や時代物ハーレクインを参考にしてるので、雰囲気だけ感じ取ってほしいなと……(そんなんばっかだな)。

ティキミラは一歩間違うとあっという間に奈落の底、という危うさがいいな~。

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