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近くの体温

3/27,4/3,4/8の拍手ありがとうございます! もう原作があれなので本当に嬉しいです……泣いてなんかいませんよ、ええ。

さて今回はラビミラで会話メモです。前回と言い、段々お話の形にまとめられなくなってきてるのかなあ。
今回は(今回も?)ちょっとその、ラビくんがもしかしたらおバカというか情けないというか無責任というかなので、苦手な人は気をつけてください……。書いてる人間以上に賢いキャラを書ける訳ないんだ……。

タイトルは群青三メートル手前さんの「淡々五十題」より。
よろしければ続きからどうぞ。


近くの体温


他人の体温というのは何だってこんなに気持ちがよいのだろう。
ラビは腕の中の温もりに再び頬ずりをして……唐突に浅い眠りから目覚めた。感覚的には飛び起きたに等しい。
慌ただしく椅子の背に放ってあった自分の衣服を身に着け、勝手知ったる恋人の部屋からこっそりと抜け出した。後にした部屋では、ミランダが目をこすりつつ起きだす。

「ラビくん……?」

寝ぼけまじりの舌足らずな問いかけはラビには届かない。

真夜中すぎの談話室。
たまたま休憩に来ていたリーバーと、叩き起こされ連れてこられたアレン(+監視役のリンク)の不平などお構いなしに、ラビが愚痴だか何だか垂れ流す。

「オレはそんなつもりじゃなかったんさ!」
「何がです?」
「やっと気がついたんですか。ブックマンの後継者が聞いて呆れますね」
「え、リンクは今ので分かるの? ていうか、こんなとこまで付いてこなくていいよ。部屋で寝てたら?」
「そうだな、じゃあオレも失礼していいよな。まだ仕事が残ってんだ」

三者三様の反応を前にして、ラビは今にも泣きだしそう。

「何言ってんさ、のりかかった舟だろ、最後まで付き合ってくれよ」
「だから何がです」
「ミランダのことさ」
「ああ。ようやっと思いが通じて良かったですね、コムイさんがいる限り始まりもしないボクとは大違いです。一回大怪我でもすればいいのに」
「それが間違いの元です。ジュニアともあろうものが」
「だから、ラビ、この手を離せ。オレには仕事が」

冷淡なリンクの指摘。椅子から立ち上がったリーバーは、白衣の裾をラビにつかまれてる。そこでアレンは、ふと何かに気づいたように首を傾げる。

「つーか、何でボクなんです。自分の色恋の経験もありませんよ」
「あのクロス元帥の弟子だろ、一緒に旅したんだろ、元帥の愛人さんだって沢山見てきたんだろ、だったら経験豊富だろ、男女の愁嘆場!」
「何言ってんですか、あの師匠がそんなの演じるわけないでしょ。相手だってそこらへんは割り切ってますし、割り切れるような人しか相手にしない……ラビ? まさかミランダさんを捨てる気ですか、何考えてんです、リナリーに殺されますよ」
「捨てるんじゃないさ、そうじゃなくて、でもオレはブックマンになるから……!」
「なればいいでしょう。確かにずっと一緒に居られないのは辛そうですけど、ミランダさんならいつまでも待っててくれますよ」

リンクがため息をつく。

「ミス・ロットーを選んだラビという人間は、正確にはこの世には居ないんです」
「何言ってんのさ、リンク。じゃ、今ボクの目の前にいるコレは何? 幽霊?」
「幽霊の方がましかもしれません。曲がりなりにも、一度は自分の生をまっとうし、思いを残してこの世にしがみつくのですから」

アレンはブックマンの仕組みがよく分からない。リンクが何だってこんなにブックマンに詳しいのか、書いてる人間もよく分からないけど、たぶんルベリエ長官あたりから聞いて知ってるんじゃないかな。

「ラビというのは黒の教団(ここ)のログを綴ったノートの名前、といったところでしょう。ここから離れればそれは完結し、それ以上の物語(ログ)が増えることはありません」
「……つまり、ボクたちとは二度と会わないってこと?」
「会うことはあるんじゃないですか。世界は割と狭いですから。そうですね、私たちでしたら友人のまねごとをして昔話をすることくらいはできると思いますよ。ですが、ミス・ロットーとこのジュニアは現時点で恋人同士ですから。時がたって昔話にできるといいですね」
「! ラビ! 本当なんですか?! じゃあ、ミランダさんは……」

ラビは唇をかんで目を伏せる。

「あのなあ、オレはミランダじゃないけど、そこまでミランダを見くびらなくてもいいと思うぞ」

今まで黙ってたリーバーが口を開いた。他の三人(アレン、ラビ、リンク)は驚いてその場で一番の年長者を見つめる。

「ミランダは確かにブックマンの仕組みを詳しくは知らんと思うが……でも普通の恋愛にならないことくらいは気づいて、それでもラビを選んだ、と思う。断言はできないけどな」
「でも……!」
「オレならゴメンだから、物好きだとは思うけどな。何といってもミランダの性質に合ってないし」
「ミランダさんの性質?」
「うん。貞女二夫に見えず、って感じだろ?」
「ああ、確かに」

ラビはビクリと肩を揺らす。アレンは大きくうなずく。
貞女、というのは言い過ぎだろうが、ミランダの恋人に対する思いは一途に深く不器用で、特別な誰かを二度選べるほど、切り替えができるようには思えない。

「いわば、行きずりの相手にされるんだからなあ。そりゃ、付き合ったら必ず結婚しなくちゃならない、なんて考える奴の方が今じゃ少ないだろうが、付き合う前から将来がない関係を始める奴も珍しいだろ」
「オレが忘れてたんさ。これから先ずっと一緒にいられる気がしてた。これが最後だって、ミランダが応えてくれるなら他の女はいらないって」

リーバーは苦いものでも噛んだような顔をして、それから苦笑した。

「……オマエはまだ若い。まあ、そう思うならそれでいいだろうさ。今のとこはな」
「本当さ、オレは本当にミランダを……!」
「別にオマエが彼女を利用したとか弄んだとか、オレもミランダも思ってないから」
「もてあ……!? なんさそれ!」

憤るラビの頭をリーバーが軽く叩く。

「むしろ、ミランダが何だってこんな年下のお子様を悩ませるようなことを始めたんだかって、オレや室長は不思議だったけどな」
「お子様言うな! それに、ミランダも悪く言うな! 全部オレが」
「そのうち分かるさ。時は最上の教師、ってな。無条件で年長者を敬うなんてまっぴらだが、真っ当に生きてる人間の積み重ねてきた時の重さに敬意を表するのも時には必要だろ」

やっと緩んだラビの指から自分の白衣を取り戻して、リーバーは素早く席を立ちドアへと向かう。

「とにかく、気づいたんならミランダとちゃんと話し合うこった。じゃないと彼女のことだ、また変な方向に悲観して出家しかねんぞ」

その言葉を最後にリーバーは談話室から退場。それを追うようにしてラビもミランダの部屋へ急ぐ。

「ボクたち、何で真夜中に叩き起こされてこんなとこに居るんでしょう」
「キミがジュニアに甘いからです。今日は任務が入っていなくて幸いです。さっさと部屋に戻って睡眠をとらないと」
「起きたらみたらし団子作ってくれませんか」
「それは無理です。が、生クリームを添えたザッハトルテの材料なら料理長から融通して頂けるかと」
「やった! リンクのケーキ、ボクは好きです」
「キミのために作るんじゃありません」

素直なアレンと素直じゃないリンク。
監視者と監視対象者の二人は、肩を並べて教団の廊下を自分たちの部屋へと歩いて行った。




うーん、終わり方がちょっと。
あと自分で書いといてなんだけど、いくら気が動転してたからといってラビくんがこんなこと言うかなあ?

ブックマンについて良く分かってないのですが、こういう存在が特定の人を作るのはもしかしたら無責任になるのかなという考えが今回のお話の元になってます。
それにラビくんも気づいたんだか、原作でもいつの間にかアレンくんに対するラビくんの執着はフェードアウトしてきてるような気が。その分、おじいちゃんブックマンへの懐きっぷりが強くなってきてるような。

そしてリバミラじゃないリーバーさんは頼れるお兄さんだ!(笑)

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