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直球勝負が恐いだなんて

3/8,22の拍手ありがとうございます! 励みになります、嬉しいです。

さて今回はリバミラで会話メモです。
拙blogの倉庫にて6666という非常にキリのよいカウントを自分で踏んだ時に降ってきたもの。
が、どうしてもお話にまとめられないのでこんな形に。どうせなら完成形で降ってきてくれればいいのに……。(それ以前に、今更ホワイトデーのお話というのはどうなの)
と思ってたら、何とかまとめられたので修正しました。まあト書きを追加したようなもんですが~。(5/3)

タイトルは群青三メートル手前さんの「淡々五十題」より。
よろしければ続きからどうぞ。



直球勝負が恐いだなんて


バレンタイン(「胃にやさしいお薬です」参照)から三週間後。
リーバーは困っていた。
教団本部の食堂で、ジェリーを相談相手に選ぶほど困っていた。

「あ~ジェリー、あんた、ミランダと仲がいいんだよな?」
「ええ。あなたも知ってるでしょ、あの子がここに来た時の体型ったら! もう信じられない! 婦長にも相談しながら……」
「それはいいんだ。えーとだったら、その、彼女が好きな食い物とか知ってるんじゃないか?」

長くなりそうな相手の話をリーバーは遮った。遮られた料理長は気を悪くするどころか、むしろ目を輝かせる。答える口調も勢いがよく弾むよう。

「! えーえー、知ってるわ、あの子は洋ナシが好きでね、デザートに出してあげると、どんなにお腹いっぱいでも幸せそうに頬張ってねー。リスが頬袋膨らましてるようで可愛いのよー。
 それで? 何? どこかへ食べに行くとかかしら? まあ味だけが問題なら私の食堂(ここ)で特別料理出してあげてもいいんだけど、こういうのは雰囲気が大切ですものね。どうせならロンドンあたりまで足のばしてもいいんじゃない? 私のお勧めは……」
「洋ナシか……今の季節は難しいな……」

せっかく得た回答に、しかしリーバーは眉根を寄せた。相手の態度に気を悪くするでなく、教団本部の胃袋を預かる料理長は笑ってテーブルに肘をついた。組みあわせた指の上にあごをのせる。

「そうねえ。でも基本、ミランダは好き嫌いはないし、何よりあんたからの誘いならウナギのゼリーでも喜んで食べると……あ~あれはダメかしらね、さすがに」

楽しそうに自問自答するジェリーをよそに、リーバーは胸の前で腕を組み宙をにらむ。

「特別配合の植物栄養剤作れば……でもあと一週間しかないし……」

ぼそりと呟かれた内容にジェリーは目を剥いた。室長であるコムイの非常識さに隠れがちだが、この班長、というか黒の教団科学班メンバーの感覚は大なり小なり世間の常識から外れている。

「……あんた、まさかここで洋ナシを栽培するとか言い出さないでしょうね? いくらとんでも科学満載の科学班でも……」
「遺伝子組みかえや生物学はレニー支部長の十八番だから洋ナシくらい頼めばどうにか……でもなあ、こんなことでお願いするのも」
「生物学って……何作るつもりなの。というか、洋ナシ忘れましょうよ」

真顔でとんでもないことを言いだした相手に、建設的な忠告を与える。教団本部の平和がかかっていると思えばジェリーの口調も熱を帯びる。

「ミランダが洋ナシを好きだって言ったのはジェリーだろう。でもまあ、洋ナシがダメなら他の食い物にするか。……いきなり身に着けるものは変だよな。花はバレンタインで贈っちまったし……」

問わず語りの呟きに、ジェリーの疑問は積もるばかり。

「あんたの思考回路が十分変よ。何がどうなってんの? デートに誘うんじゃないの?」
「デート? 誰が? 誰と?」
「あんたがミランダと。違うの?」

聞くまでもないはずの確認だったが、リーバーの顔に朱が走る。後、すぐに眉根を寄せて目をつり上げた。長い付き合いでなければ、怒っていると勘違いしただろう。

「何言ってんだ! デートも何も。オレは単にバレンタインのお返しを!」
「何で? ミランダがあなたにお菓子贈って、あなたはミランダに花束贈って、それでめでたし、次はデートなりなんなりで手順を踏んで、じゃないの?」
「~~っ! そんな単純なもんじゃないんだ。とにかくバレンタインにプレゼントをもらったんだから、一か月後のホワイトデーにお返しをするのが極東の決まりらしくて」

リーバーは頭を抱え込んだ。
太陽は東から昇るもの、と子どもに言い聞かせるのと同じ調子の料理長と、言葉に詰まる科学班班長。ここにお祭り好きな教団室長がいないのは、彼にとってせめてもの慰めだろう。

「あんたもミランダも極東の島国と関係ないのに、そんな決まりを持ち出す必要がどこにあるの」
「……そういうのがないと、ミランダが受け取りにくいんじゃないかと」
「そう? そう言われればそんな気もしてくるような……。だったら尚更、デートに誘ってコンサートなり博物館巡りなりした方がいいんじゃないの?」

もっともな相談相手の提案は即座に却下される。

「だめだ。ミランダに負担をかけたくない」
「負担って何が? 喜ぶと思うわよ。あの子の性格じゃ、自分から誘うなんて死んでも無理でしょうから」
「自信が持てない。そりゃ、断られてもオレは仕事に影響を出すつもりはないが……彼女はああいう性格だから、もしかしたら困るかも」

ジェリーはため息をのみこんで、努めて明るい声を出す。友人二人の幸せが彼女の言動にかかっているのだ。何とか目の前の朴念仁を励まして、デートの一つも実現させてやりたい。

「何で断られるのが前提になってるの。大丈夫だって、私が保証するから」
「そうか……ミランダなら断りたくてもオレの気持ちを考えて断れないかも……」

数年来の友人を、ジェリーは初めて見るような目で眺めた。案ずるより産むが易し、意志あるところに道は拓ける、を地でいく、行動力と判断力を兼ね備えこの若さで教団室長に次ぐ地位まで登りつめた男の言うこととは思えない。

「……あんた、そんな性格だった? ミランダのネガティブ思考がうつったみたい」
「自分でも驚いてる」

気まずそうなリーバーを前にして、ジェリーは新来の友人に心の中で詫びた。
(ごめん、私じゃ手に余るみたい。自分で何とかしてちょうだい)



時は過ぎて、バレンタインから一ヶ月後。
自分の机で忙しく書類仕事をしてるリーバーが引き出しを開けた時、殺風景な科学班の部屋に馴染まない上品な包装の箱が二つ、目に入った。
男の頬が少し緩み、眉間にはしわを寄せて、それは客観的に見ると、困っているような表情で。
リーバーが引き出しを閉めかけた時、背後から特徴的な声がかかる。

「あれ、リーバー、珍しいもん、持ってるさ~。何々?」
「!」

引き出しが大きな音をたてた。驚いた勢いで引き出しを力いっぱい押し込む形になったリーバーは、気を取り直してラビから報告書を受け取った。

「早かったな。お疲れさん。受け取ったから早く休んどけ」
「ああ、じじいが出してこいってうるさくてさ。で、さっきの箱、何?」

舌打ちしたい気持ちで、リーバーは相手へと手をふってみせる。

「オマエには関係ない。さっさと自分の部屋に戻れ。いつも任務後は報告書も飯も放ってベッドへ直行するだろ」
「今回はミランダと一緒だったから、ちーとばかし楽だったんだ~。そういやさっきの、前にミランダとリナリーが見てたレディースマガジンに載ってた店の包装紙じゃないかさ~」
「オマエ……分かってて言ってんだろ」

忌々しげににらまれるが、ラビは人の悪そうな笑みを浮かべたまま。そこへ丁度コーヒーを配ってたリナリーが通りかかった。不思議そうに首を傾げるのにあわせて長い髪がサラリと音をたてる。

「あれ、班長、ミランダに渡したんじゃないの? プレゼント。それで結局、何にしたの?」
「~~何でオマエが知ってるんだ?」
「そりゃ、ジェリーから」

さも当たりまえのように相手が挙げた名を、リーバーは言下に否定する。

「言うわけないだろうが! 本人が口止めした話は内容がどれだけ下らなかろうと、絶対口外しない。あいつはそういうやつだ。だからこそ教団(ここ)の母親役なんてやってられ……リナリー、オマエ立ち聞きしたな?」
「そんなことは……」

リナリーの目が泳ぐ。兄と違い、この少女は誤魔化すのが下手だ。フォローのつもりか、好奇心か、ラビが口をはさむ。

「さっきの包み、菓子屋と宝石店のだったさ。いきなりプレゼント二つはミランダ困るんじゃね?」

どうやら観念したらしきリーバーは、渋々言葉を継ぐ。

「……渡すのはどっちか片方にする。食い物の方がいいとは思うんだ。食ったらなくなるから後腐れないし、気に入らなくて捨てるにしても捨てやすいし」
「ミランダはそんなことしねえだろ」
「班長からのプレゼントをミランダが気に入らないなんてありえないよ!」

せっかくの二人そろっての意見だったが、あいにくリーバーの慰めにならないらしい。気難しげに結ばれた口が緩む気配はない。

「気休めはいい。まあ甘いものが好きらしいから、菓子のが無難だな。
 だけど……何でかミランダには形の残るものを受け取ってほしくなって……目についたブローチを包んでもらったはいいが……。こういうのは好みがあるから、そうそう気軽に渡すわけにも」

常になく弱気な兄同様の班長を見おろして、リナリーが両手を腰にあてた。

「班長、らしくないね?! いつもだったら、贈ってみて気に入らないようなら『悪い』て謝って『じゃ、一緒にもう一回買いに行こう』でしょ? というか、私の誕生日プレゼント、毎回そのコースだよね?」
「へー、ちなみにリーバーからの誕生日プレゼントってどんなんさ?」
「フラスコ型のコップとか、やけにリアルな爬虫類モチーフのブローチとか」

軽い興味から尋ねたラビだったが、リナリーの答えに声をあげて笑いだす。少年少女の賑やかな話し声は、いつもの科学班メンバーを彼らの周囲へと呼び寄せた。

「班長、どうしたんすか?」
「聞いてくれさ、リーバーがミランダに」
「ラビ余計なこと言うな。何でもない、早く仕事に戻れ!」

年下の仲間をけん制しつつ、部下たちを追い払おうとするリーバーを取り巻く現実は厳しい。

「ああ、ようやっとミランダへ告白する気になりました?」
「告白? 確か少し前、一緒に寝てましたよね? 談話室のソファで」
「マービン、その言い方は誤解を招くんじゃ……」
「違う! たまたま一緒に話してて、お互い徹夜明けで気が付いたら二人して机に突っ伏してたんだ! 誰が見たって潔白だ」

悲鳴のようなリーバーの抗議があっさり受け流される。

「そりゃ、一目瞭然ですよ。でも、そういうの見てたんで、もう付き合ってると思ってました。つか、付き合ってんですよね? ああ、改めて告白とかですか? 女の人はそういうの、何度言われても嬉しいって言いますもんね」
「えー? 男の人だって、たくさん好きだって言われれば嬉しいでしょ?」
「そこはやっぱ個人差じゃね? オレは何度でも好き好き、愛してるって言われたい方だけど♪」
「ラビと付き合う女の子は大変だ~」
「その調子じゃ、ジョニーと付き合う女の子は苦労しそうだね」
「え! 何で? 何かオレ、変なこと言いました? ロブさん! 唯一の妻帯者!」
「あ~とりあえず……班長、ここが納まらないので」

徐々に熱を増すその場の様子を微笑ましそうに眺めていたロブは、そう言いながら年下の上司の机の引き出しを開けた。取り出した箱をリーバーへ押し付け、その代わりにリーバーが持ってた書類を受け取る。

「さっさとミランダに渡すもの渡して、言うこと言ってきてください」

科学班の仕事部屋から数人がかりで放り出されるリーバー。彼の目の前でドアが閉まる。

「な! おまえら、オレは」
「リーバーさん?」

閉じた扉を蹴り開けようと上げた足を、遠慮がちな声が背後から聞こえて慌てて下ろした。振り返ると不思議そうな顔をしたミランダが立ってる。リーバーはとっさに手を後ろに隠した。

「ミランダ? どうして」
「すみません、取り込み中でしたか? 報告書をお渡ししようと……あの、でももし何か不都合があったらまた後で」
「ああいや、全然、不都合じゃない。そうじゃなくて……」

分厚い扉ごし、部屋の外を窺う気配がした。部屋の中で笑う科学班メンバーとリナリー、ラビの声が聞こえてくるのは、扉を少し開けてすき間ができたからだろう。ガシガシと頭をかいた後、リーバーは意を決して口を開いた。

この後、二つのプレゼントを渡されたミランダは慌てて自室へ走って行った。彼女もリーバーへのプレゼントをバレンタインの一週間後から用意していたので。





どうも私は困ってるリーバーさんを書くのが好きらしい。読んでる人のイメージ壊しちゃってたらすみません~。
もう少しまとめられたら、倉庫の方へも置きます。(5/3に置きました!)

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