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少しだけ速まる鼓動

いつも拍手ありがとうございます! とても励まされます。
連続拍手もありがとうございます。本当にうれしいです。

そして遅くなりましたが、リーバーさんお誕生日おめでとう! お祝いはリバミラ小話でどうでしょう(笑)
このカップリング、着々とイベント進めるのはいいんですが、私が書く男の人は崩れてく傾向がありまして、イメージ壊してしまったらごめんなさい……。今更?

タイトルは群青三メートル手前さんの「仄恋十題」より。鼓動が速まるのが少しどころではないあたり、タイトルに偽りありになるのかな。まだお付き合いどころか、お互い自分の気持ちを持て余してる期間のお話になります。

相変わらずやまなしおちなし短いのにダラダラ小話ですが、よろしければ続きをどうぞ。


少しだけ速まる鼓動


きゃっきゃっと、花が空気に漂うような華やかな笑い声がリーバーの耳に届く。
決して大きな声ではないのだが、歴史の重みが降り積もったような建物の中だからだろうか、まるでモノクロの画面へ鮮やかな色の絵の具を流し込んだように感じられる。
目を向けた先では、ジェリーとミランダが食堂のカウンター越しに話をしていた。
どこのお店で子猫が生まれた、団員のだれそれが体調を崩して病棟に運ばれていった、向こうのお店でかわいい雑貨が売っていた、新しいカフェがあちらの通りで……。
「そういえば」の言葉をはさんで、目まぐるしく変わる話題の何が「そういえば」なのかリーバーには決して理解できないだろう。
苦笑してカウンターへ近づく彼に、料理長のジェリーがいち早く気づいた。

「あらリーバー、珍しいわね。今日は研究室へ届けなくてよかったの?」
「食事くらい仕事を忘れて食堂で取れと言ったのは、ジェリーだろう」
「当然でしょ! 上司が休まないと部下も休みにくいのよ。アンタやコムイちゃんみたいに休みなしで集中し続けられる人のが特殊なの」
「ん。だから少し考えを変えて今ここにいるわけだ」
「良い傾向ね。ね、ミランダ!」
「は、はい! いいことだと思います!」

ジェリーの勢いに促され、緊張した声でミランダが返す。
リーバーがミランダの横に並ぶと、彼が何か言う前にリゾットとヨーグルトがのったトレイを押し付けられる。これが今夜のお薦めらしい。

「ほらミランダ、ソーセージとジャガイモの炒め物に、キャベツのマリネ。丁度いいから一緒に食べてきたら」

笑い含みのジェリーの言葉にミランダとリーバーは同時に言葉を返した。

「え! でも」
「何が丁度いいんだ?」

二人同時に固まってから、慌てて先を譲る。

「ごめんなさい! ジェリーさん、あの丁度というのは」
「悪い、女同士の話に首つっこんだか?」

再び言葉が途切れたところで、ジェリーが大笑いしながら手を振った。

「はいはい、いくらディナータイムの混雑が落ち着いたからって私も忙しいのよ。何か話すなら席に着いて二人でしてちょうだい」

手に持ったおたまで示された先に目をやり、二人は顔を見合わせた。どちらからともなく歩き出すと、話題は自然と最近の仕事の話になる。

「今回は大変だったみたいだな」
「今回もリナリーちゃんが大変だったんです。最近思うんですけど……リナリーちゃんは意外と無茶というか、その……」

濁された言葉に、リーバーは笑う。

「戦闘中は一瞬の判断ミスが命にかかわる。リナリーがそうしたんなら無茶じゃなくて必要なことだったんだろう」
「そう……なんでしょうか」

今回、ミランダがリナリーと一緒に赴いた任務の報告書をリーバーはここに来る前に読んだ。確かにリナリーは右手をどこかにぶつけたようで、教団帰還後すぐに病棟へと連れて行かれた。婦長からの簡易連絡によれば骨に異常はないとのことで、もっと酷いケガを見てきた身からすれば無事でよかったという思いが強い。

「ああ、ケガも軽いみたいだしな。で、ミランダはまた転んで膝すりむいたんだって?」
「! はい。あの、戦闘が終わってから驚いてしまって、その……」
「驚いた?」

何に?
続けようとして、リーバーは言葉を呑みこむ。この女性は相変わらず仲間のケガに慣れないようだ。
口に運んでいたリゾットが苦みを増し、リーバーの眉間にしわが刻まれる。と同時に、ミランダが何かに気づいたように声をあげた。

「そうだ、リーバーさんがここに来てコムイさんは大丈夫なんですか?」
「ああ、フェイ女史が見張っててくれるからな」

気遣わしげに問いかけに、何故かホッとしてリーバーは答えた。実際はフェイの隙をついて逃げ出したコムイをリーバーが探しに行くこともあるが、優秀な補佐官がいなかった時と比べれば負担は格段に減った。

「フェイさんが……あの方はとても優秀な方ですよね」

確認されてリーバーは力強く頷く。

「あの室長を一週間机に縛り付けていられるってだけで奇跡だ。もっと早く来てもらえば良かった」
「もっと早く……」
「?」

小さくなった相手の声にリーバーが目を上げると、ミランダはフォークで皿の上のジャガイモをつついている。

「食べないのか? ああ、夜遅くに脂っこい料理はつらいか。ジェリーに頼んでもっとあっさりしたやつを……」

言いかけたリーバーを遮り、ミランダが慌てたように首を振った。

「いえ、私は寝起きも寝る前も関係なく食べられますし、元々ジェリーさんに自分から頼んだので大丈夫です!」
「そうなのか? でもそんなに細かく砕いちゃ、食いづらいだろ、ジャガイモ」
「そんなことありません、ジェリーさんの料理はいつでも美味しいです」
「美味いってのには同意だが」
「すみません、行儀悪かったですね。すぐに食べます」
「あ、ああ」

速いスピードでミランダの口の中に消えていく料理を暫く眺めた後で、リーバーはスプーンを置いた。

「ごちそうさん」
「ごちそうさまでした。あの、お待たせしましたか?」
「いや。オレも丁度食べ終わったとこだ」
「それじゃ、あの、科学班のフロアへ戻る途中まで、その」

うつむきながら切り出す女性に、リーバーは破顔した。

「オレも同じこと言おうとしてた。女性棟が科学班のフロアへ向かうのと同じ方向で良かったよ。っと、トレイはオレが持とうか?」
「ありがとうございます。でも、自分で持てますから……」

手を差し出したリーバーに、立ち上がろうとして何かによろめいてテーブルに手をついたミランダが恥ずかしそうに微笑んだ。その白い頬をうっすらと染めた表情に、

(ストライク、とラビあたりが騒ぎそうだな)

速まった自分の鼓動を自覚しながら、リーバーは微笑み返した。




時間軸としては黒の教団お引越しが終わってからになります。うん、私の書いてる他のと整合性が取れてないですね! いつものことだよorz
分かりにくいですけど、ミランダさんはリーバーさんとフェイさんがお似合いだなあと一人で考えて一人で落ち込んでます。もう少しして二人の気持ちが通じるあたりも、そのうち書けたらなあ。

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