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いつも拍手ありがとうございます!
毎度代わり映えのないお礼で申し訳ない……。でもまあ基本は大事ということで(自分で言うか)。
暑いとサッパリした料理が美味しいですよねということで、今回は(も?)シンプルに仲良くしてるラビミラで。オチもどんでん返しも陰謀も裏もないお話です(笑)
そして遅くなっちゃったけど、ラビくん誕生日おめでとう!
短めですが、よろしければ~。
オレンジ兎とワルツ 5
着くまでのお楽しみ、とはぐらかされてミランダがラビに案内された場所は、古い石造りの小さな建物だった。
屋根や壁がところどころ崩れて、雨をしのげるかもあやしいが、その分風通しもよさそうだ。
「気に入った?」
と楽しそうに尋ねてくるラビへ、ミランダは笑顔を返す。
「こんな場所が本部の近くにあったなんて知らなかったわ」
一人であれば近づくのがためらわれそうな廃れっぷりであっても、頼もしい仲間が隣にいれば話は別だ。連れに導かれるまま、そこここに埃の残る室内へと足を踏み入れる。思った以上に薄暗い建物の中は、今の季節を忘れそうな程に涼しい。夏の暑さにへたばっていたミランダは、ほうと小さく息を吐いた。
彼女の心情を正確に見て取ったラビも肩の力を抜いて、蜘蛛の巣の張った天井を見上げながら軽口をたたく。
「ミランダは寒さに強い分、暑さに弱いよなあ」
「そうねえ、あと湿気にも弱いとアジアの方へ行って気づいた……いえその、任務で行く分には全然構わないのよ、むしろ珍しいものがたくさん見られて楽しい……」
慌て始めたミランダに、ラビは足を止めて朗らかに笑いかけた。
「ミランダはインドアタイプだから、無理しなくていいさ」
「……ラビくんだってインドア派でしょ? それにしても……ラビくんはよくここに来るのよね?」
「んー、まあそこそこ。何で?」
「ラビくんが休む場所なのに本が見当たらないのが珍しくて」
相手に合わせて自分も立ち止まったミランダが周囲を見渡す。部屋の大きさは精々二十メートル四方といったところだろうか、古びたカウチソファとチェステーブルが破れたガラス窓の側に置かれているだけで、他には何もない。
「そう言われれば……うーん、読む本はいつも持ってきて持って帰ってるなあ。食いもん……はジェリーに作ってもらったのを籠に入れてくるか」
「今日みたいに?」
ミランダがラビの左手に目をやれば、彼は得意そうにその手を持ち上げてみせる。
「今日は食いもんだけ……あ、あとミランダ!」
「私も持って来られたの?」
「ん! というわけで、オレとミランダの休暇が珍しくかち合った今日は二人ともここでのんびりするさ」
ラビは勢いつけてソファの真ん中に腰を下ろし、埃を舞い上がらせた。それはいい。
すぐ隣に食べ物を入れた籠を置いたのも、動作の流れとして自然だ。
だが、彼の広げた両手はどういう意味だろう。
「えーと……」
ミランダは目をさまよわせる。ラビの右隣に座ってもいいのだろうか。かなりきつそうだが。
にこにこと細めた片目を期待に輝かせるラビを見下ろした後、ミランダはソファの彼の右のあたりを心もちはたいてみる。ハンカチを敷いたら失礼だろうか。
「ミランダ、どこに座るつもりさ」
あれこれ算段し始めたミランダだったが、ラビから心底不思議そうに言われて自分の考え違いに赤面した。
「ごめんなさい、そうよね、任務なら地面にだって座るんだもの。ここは建物の中なんだから、床に座っても問題ない……えぇえぇ!」
慌てて床に膝をつこうとした彼女は、手と腰を引き寄せられて悲鳴を上げた。体がくるりと回って、気が付けば自分たちが通リ抜けてきたドアを目に映している。背中に感じる温かくて少しごつごつしているのは、これは……。
「オレがソファに座って何でミランダが床に座んのさ。今日は一日、オレがミランダ専用のイスに、てミランダ聞いてる?」
熱くなった顔を両手で押さえるミランダはラビの声を聞くどころではない。
連日続く暑さに元気のないミランダを気遣って、涼しい場所へ案内してくれるというラビの言葉を信じたのに。
どうやらミランダの本日の避暑計画は失敗に終わりそうだ。
前回は暑気払いティキさん案だったので、今回はラビくん案で。ティキさんとラビくんのお話はセットで出てくる時が多いなあ。
時期は新教団本部へお引越ししてからと思ったんだけど、冬に教団本部が引っ越してクロスが失そうしたのも冬、で、アレンくんが教団を飛び出したのはいつだったっけ? 旧本部のあたりにしといた方が無難かも。
実際の人間イスは座り心地が良くなさそうので、お話でやってみた!(笑)
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