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僕を動かせるもの(中)

いつも拍手ありがとうございます!
毎度芸がないのは仕様です。嘘です、芸がなくてすみません。

そんなこんなでリバミラお話の続きですが、またもや終わりませんでした……。
タイトルは群青三メートル手前さんの「淡々五十題」より。
短いですが、よろしければ続きをどうぞ。

 
 
僕を動かせるもの(中)


『男の付き合いだって大変だぞ。昨日だってなあ』

その言葉をきっかけにリーバーがぼやき始めると、教団の台所を預かる料理長は苦笑と共にマグカップを彼に渡してきた。ついさっき、自室に戻る途中で食堂に立ち寄った時のことだ。

『あんたのは男っていうよりコムイちゃんでしょ』
『あの巻き毛だって男だ』
『そんなこと言って』
『時々なあ、あれが女ならよかったのにと思うぞ。そしたらストレス溜まったからって自分の仕事すっぽかしてロボット作り出さないだろうし、五徹なんぞしないだろうし……あぁいや、徹夜くらいはするか』

言葉を濁したリーバーへ、ジェリーが人の悪い笑みを向けてくる。

『誰のことを言ってるのかしらあ?』
『一般論だ、一般論。男より女のが体力ないんだから、眠れるときに眠ってほしいんだけどな』
『誰かさんと久しぶりに会って話せるのが嬉しいんでしょ。分かってんならこんなトコで油うってないで、さっさと帰ってあげなさい。さっき保温ジャー抱えてったわよ』

誰が、とジェリーは言わない。リーバーも誰が、と聞かない。彼らがこんな顔をして話題にする共通の知人は案外少ない。

『今回もジャーの中身は秘密、なのか?』
『こういうサプライズが生活を豊かにするの』
『お説ごもっとも。ホットミルク、ありがとさん』

空になったカップを返し、よろよろと(何しろ二十時間ぶりのまとまった休みだ。いくら体力に自信があるとはいえ、足腰が多少は弱りもする)足早に自室を目指したのが十分前になるだろうか。あの時お決まりの愚痴をこぼす前に、ジェリーからもう少し事情を聞いておけばよかった。

しかし。
現状認識が不十分なまま、リーバーは自分の腿の上で指を組み合わせた。

「オレはミランダの面倒をみなくていいのか?」
「当然です! そのために婚約したんじゃありません!」

不本意な問いかけは、噛みつきそうな勢いで返された。男は眉根を寄せる。

「それは困ったな」
「そうです、リーバーさんが困らないように……え?」

忙しなく行ったり来たりしていたミランダの足がとまる。その様子を、男はまっすぐ見ている。

「オレは面倒をみてもらうつもりだったのに」

こげ茶の瞳が一度、天井に所狭しと貼り付けられた数式の書かれた紙を眺めた。聞き間違えたかなというように首を傾げ、女は申し訳なさそうにこちらを見る。本日初めて合った視線に、男の頬がゆるむ。手を差し伸べれば、彼女は一瞬固まった後で、頬を染めて彼の膝にそっと座った。何日かぶりに腕の中に納まった柔らかな体をリーバーは抱きしめる。小さく吐き出された互いの息が重なる。
赤くなっている相手の耳近くでリーバーは自分の望みを口にする。

「毎日は無理でも、できるだけミランダの作った朝飯食いたいし」

ミランダがくすぐったそうに、体を動かした。名残惜しく体を離して、相手と顔を見合わせる。

「服も……最低限のドレスコードは知ってるつもりだけどな、ミランダに見繕ってもらいたい」
「そういうことは服飾班の皆さんが私よりよっぽどきちんとしてくれます。ご飯だってジェリーさんが」
「そうだ。教団があるなら、ここに居続けるなら、そんなの考える必要ないな」

え、と驚く彼女の声が聞こえるようだ。長いまつ毛に囲まれた目が丸くなっている。対するリーバーは静かに微笑んでいる。婚約者へ向ける瞳は穏やかだ。

ミランダのイノセンスの能力に影響されてだろうか。リーバーは最近、自分の来し方行く末をよく考える。その度に打ちのめされるようだった。





何となくリーバーさんは結婚してからも共働き希望な気もするんですが。このリーバーさんはちょっと私が乗り移ってるかもかもしれません(笑)
先日、高価な近江牛買って自分一人で焼いて食べたんですが……妹に作ってもらった豚肉の生姜焼きのが美味しかった気がするんですよ……。自分以外の誰かに面倒見てもらうのは、贅沢なことなんだなあとしみじみ思ったり。(←単に私が料理下手なだけって話じゃないのか)
なので、この話限定(多分)で、リーバーさんはミランダさんに専業主婦になってほしいと遠まわしに言ってるのです。

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