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いつも拍手ありがとうございます!
今度こそ10連続拍手して頂けたようで、前回のラビミラが気に入ってもらえたのかなーと喜んで、喜んで……早く続き書こうと頑張ったんですけどね……。
というわけで、ラビミラです。なぜか中編になりまして……もう少し続きます。こ、今月が終わるまでには終わらせます!
それ程長いわけでもないんですが、長く書き続ける根性がなくなってきてるのかも……。
よろしければどうぞ~。
あと前回書き忘れてましたが、タイトルは群青三メートル手前様の「沁々三十題」より。
後ろを振り向く勇気が無かっただけ(中)
AKUMAを沈めた後、ラビは勢いよく後ろを振り向いた。悲鳴が上がって直ぐそうしたかったのだが、そんなことをしていたらこのボートごと全員が川の中に落とされていただろう。
そんな彼の隻眼に、四つん這いになったミランダが飛び込んできた。
「ミランダ?」
「時計が! 私の時計がー!」
近づくラビの問いかけなど気づかない様子で、彼女の手はボートの底を忙しなく探るように動いている。ぽたぽたと彼女の目から零れた涙が木でできたボートの床を濡らしていく。よく見れば、彼女の肩からショルダーバッグのように幅広の布でぶら下げられているはずの刻盤(タイムレコード)がない。
「私の、時計……」
ミランダがゆらりと立ち上がる。その目は濁った川面に据えられている。彼女の細い指がボートの縁を掴み、体を大きくボートから乗り出した。
ここまでくれば事情は明白だ。
彼女は自分のイノセンスをどこかに置き忘れてきたのか、もしくは落としたのか、とにかく自分の手元にないことに今気づいたのだ。同乗しているファインダー三人は先程まで困ったように顔を見合わせていたが、今は苦笑している。
そんなファインダーたちの態度はラビを不機嫌にさせたが、彼は黙ってミランダの二の腕を引き寄せた。彼女は不思議そうにラビを見上げてくる。なぜラビがここにいるのだろう、と口にしなかったのは、彼女なりの気遣いではなく今の彼女が自分のイノセンス以外に対する言葉を持たないだけだろう。
「この濁った川の中に飛び込んで、あんな薄っぺらい円盤を見つけられると思ってんさ? そもそもミランダ泳げないだろ」
「でも、私の時計……刻盤(タイムレコード)を探さないと……!」
「ちょっと待つさ。今巻き戻してっから」
「え……巻き……戻す……? ラビくんが?」
ラビは頷いて、自分の頭の中にしまってある映像を高速で脳内に映しはじめた。AKUMAが沈んでいく、リカルドがミランダの手を取る、ボートが川をさかのぼっていく、揺れるボートの中をリカルドがラビとミランダの間に座り込む、細切れの川の間を移動するために岸に上がる、ファインダー二人が引き上げられたボートを持ち上げる、リカルドがミランダの前後を行ったり来たりする……。
「……リカルド邪魔……」
ラビが思わず呟いたのが、聞こえたようだ。リカルドが肩を跳ね上げ、慌てて狭い舟中を移動する。誤解を解く気になれなかったラビは、そのまま記憶を遡り……。
「見えた。三十分前に岸辺の開けた場所で休憩した時は持ってたさ」
「ええ。その時は、確かにあったの。いつものように、刻盤(タイムレコード)を磨いた覚えがあるもの」
涙を流しながらもしっかりと頷いたミランダを見て、ラビはそういえば、と首を傾げた。
任務中、暇さえあれば彼女は自分のイノセンスを磨いたり縁を指でなぞったりしている。癖なのかもしれない。
であれば、失くしてすぐに彼女が気づきそうなものだ。
もっと彼女へ詳しく尋ねる必要がありそうだ。
「ミランダがイノセンスのなくなってるのに気づいたのは……今だよな」
これは尋ねるまでもなかった。先ほど彼女が上げた死にそうな悲鳴がそうだろう。
案の定、こくこくとミランダは頭を上下する。
「じゃ、なくなったのは今ってことにならん? 確かミランダ、年中イノセンスをなでまわしてたさ?」
「いつもってわけじゃ……あの、今日はその、リカルドさんが……」
語尾が小さく消えていく。ラビは眉を上げた。
そうだった。先ほど思い出した映像で、ファインダーのリカルドはミランダにまとわりついていた。何度もミランダの手を取り、話しかけ、あわよくば腰へと手を伸ばそうとしていた。これではミランダもイノセンスに触っている余裕はなかっただろう。ラビがミランダの側にいられなかったのも、イノセンスを直接見られたのが三十分前という羽目になったのも、そのせいだ。
ボートの縁から身を乗り出して、うんざりしたように水面を覗きこんでいる三人のファインダーの一人、リカルドの薄くなった頭のてっぺんをラビは睨みつけてやる。
が、このままでいても埒があかない。自分のイノセンスの能力を使った方が早くミランダのイノセンスを探し出せるのはラビも分かっている。
「ガレイ! 他のファインダーもボートの真ん中に……」
ラビがファインダーのリーダーに向かってこれからの指示を出そうとした時だった。
大きく揺れたボートの真ん中を突き破り、魚をデフォルメしたおもちゃの頭のような鋭い三角形の先端が空中へと飛び出してきた。
ラビくんいいように使われてるなあ。書いてる人間がそんな彼を気に入ってるというのが一番の理由だと思いますけどね。ほんと、ラビくんごめん、でも好きだ!
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