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前回のお話を一段落させたかったので、珍しく間をあけずに更新。
今回最初の方は書いてる人間が箇条書きにした方が分かりやすいんじゃ……と思うくらいなので、ななめ読み推奨です(笑)
そして、今回はばっちりコムミラ+リバフェイなので、苦手な方はご注意を~。
よろしければ、「つづきはこちら」からどうぞ。
色鮮やかな世界(後)
辛く悲しいAKUMAを生み出す千年伯爵との戦争が終わったので、その主体であった教団は組織の縮小が図られた。
科学者たちは守秘義務を課されるのと引きかえに、世界各国の大学・企業へと散らばり、悲願を叶えたファインダーたちは彼らの故郷へと戻った。
生き残ったエクソシストたちも大半は教団を去った。驚くべきは、「必ず帰ってくるから」との言葉を残してリナリーがアメリカの大学へ進んだことだろうか。
ラビを名のっていたブックマンは、別れの言葉一つ残さず教団関係者たちの前から姿を消し、どうにか命を戦後に繋いだアレンの怒りを買った。
「次に会ったら覚えていろ」が一時彼の口癖となったものの、街々を巡るフリーランスのピエロが裏の歴史を記録するブックマンに出会う確率は限りなく低い。この口癖を耳にした関係者は、紅白の髪が仲良く戦場に並んだありし日を、苦笑とともに思い出すこととなる。
教団に籍を置く者の数が少なくなってからも、コムイは変わらず教団室長を努めている。その仕事というのは、彼が(彼いわく)中間管理職として所属する組織の解体に近い整理作業なのだが、その漂々とした態度から彼の心中を推し量るのは難しい。
リーバーは教団に残っている。フェイ・ブリジットも同じく。
「この人(コムイ)を放っておいたら世界が大変なことになる」との危機感を共有するこの二人、この度、ささやかな結婚式を挙げることになった。
白衣を礼服に着替えたリーバーと純白のドレスに身を包んだフェイの姿は、あるべきものがあるべきところへ収まったように美しく調和した。
聖職者となったマリが後光もまぶしく朗々と成婚の宣言を発した後、新郎新婦が光源の乏しい小さな聖堂から新緑の輝く建物の外へと歩みを進める。珍しく晴れ上がったロンドンの青い空に放たれた白い鳩は、平和になったこの世界への祝福であるようにミランダには思われた。
聖堂から続く細い道を、肩を並べてミランダとコムイは歩いて行く。かつての教団メンバーも交えて、久しぶりに結婚披露宴という名の宴会がこれから予定されているのだ。
「いいお式でしたね」「リーバーくんも泣いてたしね」「それはコムイさんが作ったブーケが」「やっぱうれし泣きかな、彼ああ見えて涙もろいよなあ」「ですから式の前におかしなものを飲ませようとするのは」「リナリー喜んでたねえ。帰ってくるのが式に間に合ってよかったよ」「……そうですね、本当に良かったです……」
意味があるようなないような会話を交わしていた二人が、披露宴会場となっている庭を目の前にして立ちどまり、どちらからともなく顔を見合わせた。
コホンとコムイが一つ、咳払いをする。
「ミランダは故郷に帰らなくていいの?」
「コムイさんこそ」
コムイは悪戯っぽく笑った。
「ボクのホームはここだよ」
ミランダの顔から笑みが零れた。
「奇遇ですね、私のホームもここなんです」
少しは彼を驚かせられるかとミランダは思っていたのだが、コムイはあっさり頷いた。
「ふうん? じゃぁボクたちは家族だね」
驚いたのはミランダの方だった。一瞬の間をあけてから、確かにそうだと頷く。
目を細めて鋭い光りを消したコムイが、得たりと微笑んでミランダの手を取った。
「話が早くて助かるよ。それでね、ボクは意外と保守的な人間なんだ」
知っている。
リナリーが大学へ進むと決めたときの騒ぎは、この時彼がわめいた数々の言葉は、儒教の女性に対する縛りというのは大変なものなのだなとキリスト教のアレコレを棚上げしてミランダに思わせるものだった。
その時を思い出して、無意識のうちにミランダが引きかけた足は、コムイが手を引き寄せたことで前へとふみ出すこととなった。つい鼻先に迫った相手のチャイナ服の合わせ目に、慌てて目をあげると黒い瞳がミランダを見つめていた。
言葉に詰まるミランダに、コムイはすぐそばの木の根元に置かれた大きなトランクを目で示して見せる。
「だから形式も整えたい。ではミランダ。ここに花嫁衣裳があります。身長168センチ、体重48キロのブラウン巻き毛の女性をイメージしてジョニーに作ってもらったやつなんだけどね。今ボクが着てる服と対になっているんだ。
君これをこれから着る意志はあるかい?」
「今日これからですか?」
「うん」
彼の唐突な行動には慣れたと思っていたのだが。
呆れよりも諦めが勝ったため息をついて、ミランダは仕方ないと笑う。それを受け、コムイはミランダの手ごと自分の手を口元へと持ち上げる。
「請回答。我愛イ尓」
囁かれた彼の母国語は、人里離れた場所に今も残るだろう昔の教団本拠地を思い出させた。新しい本拠地に来てから少なくなったが、出会った最初の頃はこの胡散臭い響きでよく誤魔化されたものだ。
彼が死ぬまで抱えていくといった、あの懐かしくも呪われた場所を、ミランダも一緒に抱えていくと決めたのはこういった結末を望んだからではなかったのだけれど。
「是」
短く告げて、かがんで待つ彼の頬へとキスを一つ。
中国といえば儒教かなと思ってコムイさんのベースをそれにしてみましたが(特にお話に絡ませられませんでしたが)、山奥の小さな村だったら漢民族じゃなくて少数民族の可能性が高いのかな。
リー兄弟が実は宗や明の王族の生き残り、なんて設定が出てきたらどうしよう(笑)
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