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タイトルはリライトさんの「好き過ぎる7のお題」より。
リーバーさんとの小話ですよ。
あと、こまめに拍手ありがとうございます!
猫の拍手ボタンだとどの話が気に入ってもらえたか分かって、ちょっと嬉しかったりv
多分自分は、彼女に心底惚れている
突然だが、リーバーはミランダと破局の危機を迎えていた。
一体、自分が何をしたというのか。
自分の行動を振り返っても、思い当たる節が見あたらない。
ただ、同人物との破局の危機を今年に入ってから何度ものりこえているのは確かだ。
ついさっき自分への別れを宣言した女性に向かい、リーバーは厳しい声をつくって問いかけた。この質問、彼女との会話テンプレートに登録したいほど頻繁に使っている。
「ミランダ、理由を聞かせてくれるな?」
眉尻を下げ大きな瞳を収めた目の縁に涙を湛え真っ青な顔色をした女性は、今にも泣き出しそうな掠れた途切れがちの声で、「ジャガイモが」と答えた。
イモ?
何でそんなもののために自分が別れにゃならんのだ。
「イモが何だって?」
「私、ほとんど毎日おイモを食べてて」
リーバーは頷いた。
黒の教団で小さい頃から育ったリナリーや神田はともかく、故郷と呼べる場所で育った人間は食べ慣れた味を好む。
黒の教団の食堂では世界各国の料理が用意されているものの、大抵の人間は故郷で食べられなかった珍しい料理を一通り試した後、自国料理に落ちつく。いわゆるおふくろの味というやつだ。
これに関してはリーバーとミランダも例外でない。
であるからして、胃がまともに働いているときのリーバーは肉を、どれほど寝不足になろうがやつれようが食欲だけは健全なミランダはジャガイモを、食事のメインとして選ぶことになる。
とはいえリーバーとしては先々のことを考えるとミランダの好む食事に舌を慣らしておきたいので、彼女と似た食事をすることが増えた。
今日の朝食も彼女の前に並んでいるのと同じ、ゆでたジャガイモ、ソラ豆のスープ、ヨーグルト、黒パン。これだけだと量が足りないので、チーズ、ウィンナー、ハム、サラダ、マスカットをリーバーはプラスしている。飲み物は炭酸水を頼んだ。目の前の女性はオレンジジュースを飲んでいるので、これも違うといえば違うか。
「オレも今日はジャガイモ食べてる、一緒だな」
「……違います」
「何が?」
「だって、リーバーさん、ジャガイモにマーマレードをかけてます」
「あぁそりゃ、頭使うから甘いモンとらないと……」
ミランダが勢いよくうなずく。
「知ってます、頭は贅沢だから糖分しかエネルギーにならなくて、だから科学班の人たちはたくさんチョコやアメやケーキを食べる必要があるって、この前キャッシュさんが教えてくれました。
だから、だから、私、リーバーさんが黒パンにマーマレード塗ったりホットケーキにのせたり、クッキーやケーキをジャムのビンに浸けても必要なことだと思って黙ってたんです」
「……そうだったか?」
再びミランダが何度も首を上下する。
自分はそんなにマーマレードばかり食べていたのか。気づかなかった。
「でも、ジャガイモだけはダメです。私、それだけは見ていられません」
「それじゃ、次からはかけない。これでいいだろ?」
これで解決と、リーバーは逃げられないようつかんでいたミランダの手を離して腰を下ろそうとする。
が。
「ダメです」
キッパリと言い切られてしまった。慌てて相手の手首をつかむ指の力を強める。わけがわからない。
「何で」
責める響きの混じったリーバーの言葉に、ミランダは細かく震えながら首を横に振り続ける。こういうときだけ頑固なのは何でだ。
「わ、私のせいでリーバーさんが食べたいものを食べられなくなるのはダメです」
「食べたいとかそういうんじゃなくて」
「ダメです。前もそういってお散歩一緒してくれた次の日、死にそうな顔して仕事されてました」
死にそうなのはいつものことだ。むしろその日は、機嫌がいいね仕事もはかどるねボクのもついでにやってくれるよねと上司にからかわれた記憶がある。
「私、だから……リーバーさんがジャガイモにマーマレードかけるのは見てられなくて、でもかけないのもダメで、だから……」
「だから?」
「だから、わ、別れたほうが……」
「却下」
ミランダが、不意をつかれたように顔を上げた。今、自分は彼女の目にどう映っているだろう。とりあえず、その折れそうな手首をリーバーがつかまえていなければ既に走って逃げられていることだけは確かだ。
忘れもしない、記念すべき破局の危機第一回目。それをやられて二週間、あからさまに避けられ続けた日々の泣きたくなるような情けなさは今も記憶に新しい。以来、学習能力に優れたリーバーは何があってもすぐに捕まえられるよう、彼女の近くにいるよう努めることとなった。決して周囲が呆れるような、やましい下心のためではない。そのはずだ。
「あのなあ、付き合ってれば気に食わないことの一つや二つ、出てくるのがふつうだろ? その度に別れてちゃずっと独りだ。ミランダはその方がいいのか?」
少し意地悪だったかもしれない。とうとう流れ始めた彼女の涙を、白衣の袖で拭ってやってから頭に手をのせる。自分と彼女の間のテーブルが邪魔だ。
「どうしても譲れないことってあるよな。ミランダのそれはジャガイモだったんだろ。オレのはまだ分からないけど、分かったら言う。それをミランダが譲ってくれたら嬉しいし、譲れないようなら一緒に考えてほしい。それとも、これもイヤか?」
勢いよくミランダが首を横に振る。止まらない涙を手の甲で抑えながら、小さな声で「ごめんなさい」と「はい」を繰り返している。
なんだってたかがイモのためにこんな事態になっているのか。いくら考えてもスッキリしないのだが。でも。
「それじゃ、リーバーさん。思いついたら、すぐに教えてくださいね?」
濡れた瞳でまっすぐな視線を寄こす彼女を見ていると、そんなことはどうでもいいことに思えるから不思議だ。
でもって、ここまできてようやく、周囲に自分たち以外の人間がいることに気づいたがどうしたものだろう。冷やかしの口笛や、好奇心まじりのざわめきが耳に痛い。
それより何より、今回の危機を誰に愚痴ろうとのろけ話と決めつけられるのは納得がいかない。
とはいえ、「ミランダ、でも?」と返して数分後、意味を理解したらしい彼女の慌てぶりと恥ずかしがっている様子を見られる自分がどれだけ幸せか自分以外には分からないのだから、よしとしよう。
惚れてる、はリーバーさんが合ってるような。愛してる、はマリさんて感じ。好きはラビくんかな。ティキさんは気に入ってる、とか。
何がって、ミランダさん(じゃなくてもいい。要は大切な人)への気持ちを表す言葉が(笑)
「中国は昔から水資源が貧しく、僅かの水も汚いのがデフォルトだから中国料理は油の料理。
綺麗な水が豊富な日本は水の料理。
新鮮な素材の無いパリはソースの料理。
世界で1位2位を争う飢饉をアンデスからもたらされたジャガイモとジャガイモを飼料に育てた豚肉でしのいだドイツは”ジャガイモと豚肉の保存食”の料理。ドイツ人は日頃から飢饉対応モードで生きてるからこういう時強い。」
というどこかのニュースサイトさんで見た言葉(例の如くネットなので真偽は不問)から、つらつらと思いついたお話。ご存知の方は、私と同じサイトさんに通ってる方ですねv
で、「こういう時」ってどういう時だ。
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