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私なりのミランダさんお祝い小話。これをラビミラに分類してもいいものか。
とりあえず、マリミラ←(?)ラビです。....うえぇ~(涙)(泣くくらいなら書くなや。純粋にマリミラ好きな人に失礼やろが)(あうぅ。ゴメンなさい、こんな書き手で)
手は口ほどにモノを言い
黒の教団が本部を移して幾日か。ロンドン近郊に用意されたその建物は、以前本拠地としていた怪しげな塔と異なり一見普通の屋敷である。内部は科学班の改造によってかなり普通でなくなっているようだが。
その一見普通の屋敷の敷地の入り口で尋常でないチェックを受けた後、任務帰りのラビとマリは建物の扉の前に立った。大きな屋敷に相応しく大きな造りの扉であったが、マリの体が大きいため二人肩を並べて入るというわけにはいかない。その必要もない。
何となしにマリが扉を押し開けて、それに続こうとしたラビは先を行く大きな体にぶつかった。前ぶれもなくマリが立ち止まったからだ。
「どうしたさ、マリ....て、ミランダ?」
硬い背中にぶつけた鼻を押さえながら、ヒョイと大きな体をかわしてラビが覗き見ると、華奢という言葉を体現した女性がひっそりと立っていた。一心にこちらを....マリを見上げている。いつもは蝋のように青白い頬が、心なし赤いような気がする。
もしかして、とある種の予想を胸に見守るラビの視線の先、胸の前で組み合わせたミランダの細い指に力がこもる。スッと、細く息を吸う音がする。
そして。
「お、おかえりなさい、マリさん」
「! はい。ただいま戻りました、ミランダ」
ありきたりの挨拶をさも重大な知らせでもあるようにかの女性がのたまえば、でくのぼうよろしく隙だらけで突っ立っていたマリも、これまた一拍間をおいて意を決したように応えを返す。腰のあたりで構えた大きな手が、ガチガチに握りしめられている。
やっぱり。
ラビは驚かない。何度か周囲の人間から、彼らのこのやり取りの話を聞かされていたからだ。勝手にやっててくれと、大きな体の隣をすり抜けようとしたラビの腕が太い腕に引き止められた。怪訝に思って見上げると、一人にしないでくれと上から見下ろす黒い目が訴える。
馬に蹴られるようなマネはラビの本意ではないのだが。
渋々、望まれているだろうことを口にする。
「あ~、その、ミランダ。マリとオレ、報告書をコムイに出さないといけんからさ」
「! そうよね、ごめんなさい、引き止めてしまって。あの、それじゃ」
「はい、では」
ラビのおせっかいな一言に、二人は二人ともホッと息を吐いて小さく会釈をし合う。ようやっと動き出したマリの後ろを歩くラビの耳に小さな悲鳴が届く。咄嗟にさし出した手に、ミランダの細い腰が引っかかった。
「大丈夫かさ、ミランダ」
「ラビ君! ごめんな....」
「すまない、ラビ」
転びかけたミランダを支えたラビへの謝罪が終わる前に、マリがラビに向かって頭を下げた。
『すまない』って....何でマリが謝るんだ?
釈然としないものを感じたラビだが得意とする笑顔でやり過ごし、今気づいたとばかりに声をあげた。
「あ~、マリ、報告書はオレが出しとくさ。マリはミランダと食堂で茶でも飲んだらいいさ」
「ラビ、それは!」
「ホレ、ココ見て。ボロボロだろ? ジョニーに直してもらうついでだから気にすんなさ」
ピラピラとめくって見せた上着は確かに上下に大きく切り裂かれている。修繕が必要なのは明白で、マリは口をパクパク開閉させた後で覚悟をきめたように頷いた。ミランダが慌てて『ラビ君、ケガは、そんな服、先に医務室に、あぁ婦長さんに!』とか何とか叫び始めたのを宥める同僚の男の声を背中に聞きながら、その場を後にする。
足音荒く室長室を目指しながら、ラビの心は落ち着かない。理由をあれこれ考えるが、どれもしっくりこない。
何だっていうんだ。
マリの帰りをミランダが待っていた。そして、帰還の挨拶を交わしていた。それを目にしただけだ。リナリーが任務から帰った時、コムイやリーバーと同じやり取りをしているのをこれまでだって何度も見て聞いた。あの時は微笑ましく感じたのだ。こんな気持ちになりはしなかった。
あの時と今とではラビの気持ちが変わってしまったのだろうか。だから、こんなにも彼らのやり取りを羨ましく感じているのか。
羨ましい?
ラビは足を止めた。
たどり着いた自分の感情に彼は困惑を隠せない。
これまで彼はそんなもの望んだことなどなかった筈だ。「ただいま」も「おかえり」も、必要なかった。
求めるものは唯一つ、この目に全てを映すこと。
人の愚かさに失望しようと、撒き散らされる悪意に辟易しようと、それでもまだ見ぬ何かにせき立てられるように、先へ先へと足を進める。
時は有限、人の一生は短い。
であればこそ、ブックマンとして自分の知らぬ時代の出来事を、光満ちる世界で呑気に笑っているだけでは得られぬ真実を、光差し込まぬ闇の中で蠢くだけでは気づかぬ美しい景色を見たかった。
この世に満ちるありとあらゆる何もかもを一つでも多く、一欠けらでも余分にこの目に映せたなら、ただ一人道端に打ち捨てられる屍がたどり着く先であろうと構わなかったのに。
「おかえりなさい、マリさん」
「ただいま戻りました、ミランダ」
先程見た光景がまぶたの裏鮮やかに蘇る。
細い指、オモチャのように小さく華奢な手、折れそうな手首が何かを探すようにためらいさまよう。
丸太のようながっしりした腕、太い指が触れれば溶けてしまうとでもいうかのように迷い揺らめき上下する。
ようやっと触れ合ったと思った瞬間、火傷でもしたかのように引っ込めた手を、互いに大事そうに残りの手で包み込む。
この先何度となく繰り返されるであろう先程のやり取りを思う。この戦争が終わるまで、この戦争が終わっても。彼らは飽きずに繰り返すだろう。柔らかく微笑みながら、優しく相手に手を伸ばす。
ラビには決して手に入らないその光景。
知らず、目をきつく瞑り唇を噛みしめた。いつの間にか、手の平を自らの喉に押し当てていた。
「ただいま、ミランダ」
さっき言いそびれた言葉を口にのせてみる。小さな呟きはランプの黄色い明かりの中、応える者なく漂い消えた。
ラビ→ミランダ、というより「隣の芝は青い」感じかもしれない。まぁ、何があってもブックマンであり続けるだろう彼が私は好きです。
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