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「リライト」 ttp://lonelylion.nobody.jp/
さんの「囚われる、十の御題」より。
先週の本誌を読んでバーッと思いついた小話、ラビ君ver.。
ラビ君ver.ということは、ティキさんver.もあるということで(笑)
本誌も丁度一週間お休みだし、その間に仕上げられるといいな。
すべてのはじまりは ver.L
リナリーのイノセンスが『結晶型』なるものに進化した旨の説明を、室長室で存命のエクソシスト全員が揃って受けた次の日の朝。
ミランダは食堂でラビと向かい合って座り、朝食を取っていた。
どうやらこの年下の青年と彼女の体内時計のリズムは似ているらしい。江戸から本部へ彼らが帰還して以来、ここで顔を合わせることが多い。
ラビは話題が豊富で喋り方は柔らかい。親しく付き合ってみれば気遣いに溢れた青年とすぐ分かる。だからだろうか、人見知りの激しいミランダも僅かな時間で打ち解けることができた。
彼と一緒に取る食事は楽しく美味しいものと決まっていたのだが。
「結晶化って、血が必要なのよね。体の一部なら、髪じゃダメかしら。あぁでも、リナリーちゃん、髪も短くなったのよね。もしかしたらアレも結晶化に必要だったのかしら。あんなに長い髪があんなに短くならなきゃダメなら、私は私は....丸坊主にでもならないとダメなのかしら」
今にも泣きだしそうなミランダだが、その手はしっかり目の前の皿から白ウィンナーを口に運び、レンズ豆のスープを掬っている。ラビは(ここ数日ですっかり慣れた)ミランダのどこかとぼけた考えに苦笑いを返しながら、山盛りのパスタをフォークに巻きつけ口に頬張る。
「ん~、髪はいい考えかもな。東洋じゃ髪は女の命、なんてトコもあるみたいだし。でもまあ、血なんだろうなぁ、必要なのは。いや、そんなに心配することないんじゃないかさ。リナリーだって日常生活に支障はないみたいだし」
モグモグと口を動かし細い指で大麦パンを千切っていたミランダだったが、今ようやっと気づいたとでもいうように、手を止めてマジマジとラビを見つめた。青年は大きく膨らんでいた頬の中のものを飲み込み、今度はシーザーサラダにフォークをつき立てている。
「そういえば、ラビ君はリナリーちゃんの結晶化を見たのよね?」
「ん? あぁ、見たような見てないような。ただ、あの足首の傷がなぁ」
「本当に。あんなに綺麗な脚に、何もわざわざ痕を残すようなことしなくてもいいと思うのよ、イノセンスも」
「って、悪ぃ、ミランダだって傷痕....」
「私のコレはノアの女の子がつけたものだもの。リナリーちゃんとは違うわ」
視線を自分の手に落とす。食事中だからといつもなら着けている手袋を外してむき出しになった手の平からその甲までを貫く大きな傷。これがなければ、彼女は今ここにいない。
「でもさ、いっつも手袋してて....」
「見てて気持ちよいものではないでしょう? ....リナリーちゃんはどうするのかしら」
「隠す気はなさそうさね、さっきの姿見るに」
「そう。やっぱり、リナリーちゃんは立派ね」
「そうさな、立派すぎて時々、見てるこっちが苦しくなるかな」
あら?
苦い声にミランダが顔を上げると、ラビは眉間に深くシワを寄せていた。年下の仲間を慮るその姿。
思わず目尻が下がる。
何て優しい風景なのだろう。ここは戦争の最前線なのかも知れないけれど、ここに居る人たちは彼女の知るどんな人たちよりも優しい。人を思いやることを知っている。
胸に満ちた温かな思いを自分の内だけに留めておけず、ミランダは我知らず呟いていた。
「ラビ君はリナリーちゃんが好きなのね」
何の気なしに言った言葉だった。一緒に戦う仲間なら当然だろうと。
しかし。
ラビの動きが止まった。頬が赤く染まっていく。
染まった頬を覆うように、素早く少年の腕が上がった。
手に握ったままのフォークが天井からの白い光を反射してキラリと光る。
尽きることのない泉のようにいつだって苦もなく適切な言葉を吐き出す口が、空しく開閉する。
どうしてミランダにそれら一連の動作を見てとることが出来たのか。
それくらい、ほんの瞬きする間のできごとだった。
けれど、ラビのこんな姿を見れば、いくら鈍い彼女であっても理解せざるを得ない。
『あぁ、ラビ君はリナリーちゃんのことが』
腑に落ちた途端、胸を走った鈍い痛み。鋭いナイフでスッパリと切られた痛みではない。柔らかそうに見える芝生や雪に倒れこんで、それらが羽根布団でもリネンのクッションでもないと気づかされる胸を打ちつけ息が止まる痛み。衝撃に構えていなかった分、受けるショックは大きくて。
「あ、当ったり前さね、一緒に戦う仲間だろ。リナリーだけじゃなくてミランダだって好きだし、アレンだって好き。ユウなんか一番付き合いが長い分、一等好き!」
ようやっと普段の調子で返ってきた言葉に、ミランダは泣きたくなった。
明るく朗らかでどこかつかみどころのない、相手を煙に巻くための口調なのだと。この時ようやっと理解できた。
だからといって、ミランダができることなど少ししかない。
強張る頬に更に力をこめて笑顔を作り頷いてみせる。
「そうよね、皆、大切な仲間ですものね」
いつものラビだったら気づいただろう。二つの目を忙しなく動かすミランダより、一つの目だけで鋭く周囲を観察して記録するブックマンJr.なら気づくべきだったろう。
目に映さずとも、ミランダの言葉の端の小さな震えに。テーブルの下で固く組み合わせた指に。揺れる視線に。
気づいて、気遣う言葉をかけただろう。彼女の疑念を静めただろう。それが、世界の枠から外れた永遠の傍観者に相応しい態度というものだ。
しかし、ラビは気づかなかった。気づいた素振りを見せなかった。
寂しげな微笑を精悍な顔に浮かべ、小さく『仲間』と口の中で呟いた青年の姿はなんて儚い。その姿を目に映したミランダの胸が締めつけられる。
「私も皆が....もちろん、ラビ君も。大好きよ」
だからミランダは、柔らかく告げた。
この言葉の本当の意味に、どうか気づかないでと胸の中唱えながら。
気づいたときに望みが消えながら、消えないミランダさんの恋心。ここから長く険しい道のりが始まる、とか。
ラビ君のイノセンスの結晶化は、彼が『自分はエクソシストになれない、ブックマンでしかいられない』と気づいた時に起こってほしいなぁ。生きてる限り続く孤独を受け入れられた時、『でも一時だけ力を貸すか、お互いに』てな感じのイノセンスとの距離感がいい。
その際は、右目からの血の涙で結晶化~、でどうだ!
神田君とアレン君は(アレン君の場合、結晶化はないけど)、『死ぬも生きるも一緒!』てな感じが似てる気が(笑)
あぁそっか、何で神田君結晶化しないんだろうと不思議だったけど、『あの人』絡みでイベント起こるのか、な?
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